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ローマは、鉛によって滅んだ?

最盛期には「すべての道はローマに通ず」とまでいわしめた強大なローマ帝国も、専制君主によって共和制が失われるなど、国の内部から蝕まれ、やがては分裂・滅亡への道を辿ることとなってしまいました。
ローマ帝国が滅んでしまった原因は、制度や法律が人々を締め上げてしまったこともそのひとつですが、人々の体も、ある毒物によって蝕(むしば)まれていたという話があります。
それは、現在でも比較的良く使われている鉛です。
鉛は、古くから使われている金属で、紀元前5世紀ごろ、化粧品や陶器の釉薬(うわぐすり)に使われていたという記録が残っているほどです。
柔らかく、加工がしやすいのがその特徴のひとつで、紀元前から上下水道をつくっていたローマ人は、鉛でその水を通すパイプをつくっていました。
カラカラ浴場がよく知られている大衆浴場や、化粧品、食器、ブドウ酒の壷(つぼ)など、さまざまな物に加工されました。
さて、鉛は、加工しやすいという利点があるものの、その性質は水銀に似ていて、強い毒性をもっています。
実際、これだけ鉛を多用していた貴族階級には流産・死産が多く、遺骨からは高濃度の鉛が検出されたそうです。
このことから、「ローマは鉛によって滅んだ」ともいわれるほどなのです。
鉛に関しては、ヒポクラテス(Hippocrates 紀元前460年ごろ-紀元前370年ごろ)のころから、臓器や筋肉の痛み、精神障害が出ることが知られていたようですが、結局、鉛の便利さには勝てずに、ローマ人は自分の首を自分で絞めることになってしまったようです。

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カテゴリ:[雑学]