平安時代の女流作家を生んだのは、秋の長雨?
長雨

日本は、四季の変化がはっきりしていて、春夏秋冬それぞれの季節を彩る植物にも恵まれています。
そして、それらの成長に大きく影響するのが雨。

春雨や秋雨をはじめ、菜種梅雨(なたねづゆ)、夕立、秋霖(しゅうりん)、時雨(しぐれ)など、趣きのある呼び名は数多くありますが、しとしと続く長雨のころには、青空が恋しくなってきます。

平安時代に名作を残した女流作家たちも、その思いは同じだったようですが、彼女たちが恋しく思ったのは青空だけではありませんでした。

当時の結婚は、男性が女性の家に訪ねていく「通い婚(かよいこん)」でした。
長雨が続けば、当然夫の足も遠のいてしまいます。

小野小町の詠んだ、

「花の色は移りにけりないたづらに 我が身世にふる ながめせしまに」

という有名な歌がありますが、この中の「ながめ」には、物思いにふけるという意味の眺めと、長雨の2つの意味が込められています。

くわえて、日本の雨は降水密度が高いために、平安時代の女性たちは、家の中に閉じこもっているしかなく、なかなか訪ねてきてくれない夫のことを考えて、物思いにふけっていたのでしょう。
当時の雨の歌には、切ない恋を詠んだものが多かったのも当然のことといえます。

そして、華麗なる王朝絵巻を描いた物語など数多くの名作も、雨の日に何もすることがなかった彼女たちの、切ない思いや情熱のはけ口だったといえるでしょう。
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