かつて、世界遺産「アンコールワット」に落書きをしたニッポンの侍がいた?
アンコールワット

「アンコールワット」とは、ユネスコの世界遺産にも登録されているカンボジアのアンコール遺跡の中で、最も有名で、かつ巨大な遺跡です。

この「アンコ-ルワット」は、12世紀前半に、ヒンドゥー教ヴィシュヌ神を祀(まつ)るために、スールヤヴァルマン2世によって建てられた、石造作りの寺院です。

さて、この寺院を取り巻く回廊(かいろう)の石柱には、なんと、17世紀に書かれた日本人の落書き(愚書)が、14ヶ所も書き残されています。

この落書きを書いたのは、江戸時代の初めに、朱印船(しゅいんせん)に乗ってこの地にやってきた、肥後(ひご)の侍(さむらい)、森本右近太祐(もりもと うこんだゆう)です。

この石柱には、

「寛永(かんえい)9年(1632年)……父義太夫(ぎだゆう)の菩提(ぼだい)を弔(とむら)い、老母の後生(ごしょう)を祈るため、数千里の海を渡り、仏像4体を奉納(ほうのう)した」

と記されています。

「後生を祈る」というのは、死後再び生まれ変わった後の世界での幸福を祈る、といった意味です。

この内容から、森本右近太祐は親孝行のため、戦国の世のはかなさを嘆いて安寧(あんねい)を願い、この地に参詣(さんけい)したといわれています。

なお、この石柱には、その他朱貿易商の肥後の嘉右衛門尉(かえもんのじょう)などの名前と、堺、肥前、肥後、大阪などの出身地名も残されています。
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