推理小説をそっくりマネた、大掛かりな詐欺事件があった?
不動産売買契約書

推理小説のトリックには、人間の盲点をついたものが多いですが、中には法律の盲点をついたものもあります。

森村誠一(もりむら せいいち)の小説・「凶水系(きょうすいけい)」もそのひとつですが、昭和56年に茨城県は水戸で起こった詐欺(さぎ)事件は、なんと、この小説に書かれているトリックを、そっくりそのまま真似したものでした。

事件の発端は、A商事がB医師に土地代7400万円を払ったのに、名義変更をしてくれないと、水戸地裁(ちさい)に訴えたことでした。
裁判に出廷(しゅってい)したB医師は、A商事の言い分を認め、土地はめでたくA商事のものとなり、A商事は土地を売却、2500万円の利益を得ました。

普通ならば、これで一件落着です。
が、実は、この裁判は大掛かりな詐欺事件であることが判明したのです。
というのも、この裁判に出廷したB医師は、「真っ赤なニセモノ」だったからです。

民事裁判においては、出廷した当事者の身元を確認する手続きが行なわれません。
それをいいことに、ホンモノのB医師が知らないあいだに、B医師になりすました無職の男CとA商事社長がグルになり、さも売買契約があったかのように見せかけたのです。

民事裁判

かくして、一見土地の所有権争いをしているようにみせ、訴えを起こした裁判所がA商事に「許諾調書(きょだくちょうしょ)」を発行させることで、A商事はまんまと土地の所有権を手中にしたというわけなのです。
珍事件簿
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