投稿日:2016-11-13 Sun
四天王寺 五重塔と金堂
「地震国」である日本では、耐震性を強化する技術が発達してきましたが、最近は制震、免震(めんしん)技術の向上へと進化しています。
1968年に完成した日本最初の高層建築ビルである「霞ヶ関ビル」。
これ以前の地震対策は、「耐震構造」がとられていました。
「耐震構造」は、鉄筋コンクリートで柱と壁を強化して地震に対抗する「剛(ごう)構造」ですが、これを100メートル以上の高層ビルに適用すると、膨大(ぼうだい)な量の鉄とコンクリートが必要となり、コストの面からも実用化が難しくなってしまいます。
そこで、霞ヶ関ビルの建設にあたって使用されたのが、「制震構造」です。
「制震構造」は、耐震構造のように、建築物の強度を上げて地震が来た際に揺れないように押さえ込むのではなく、逆に、地震の揺れに合わせて建築物を適度に揺らすことで、地震エネルギーを分散・吸収させる「柔(じゅう)構造」の建築法です。
この柔構造の発想には、寺院にある五重塔の技術が使われています。
時は1923年、関東大震災で多くの建物が倒壊(とうかい)した際に、東京都台東区の寛永寺(かんえいじ)の五重塔が倒壊を免れたことを知った建築学者が、何故倒壊しなかったのか、その構造を調べて、柔構造の着想(ちゃくそう)を得たといいます。
五重塔で用いられているのは、「心柱(しんばしら)制震」と呼ばれる構造です。
そしてこの「心柱制震」は、2012年竣工の「東京スカイツリー」にも採用されています。
浅草寺から見る 東京スカイツリー

「心柱制震」というのは、中央に設けられた柱と、外周部の塔の部分を分離させ、柱を重りとして機能させる仕組みを指します。
地震のときなどに、構造体本体とタイミングがずれて震動する重りを加えることで、本体と重りの揺れを相殺(そうさい)させ、全体の揺れを抑制(よくせい)するのです。
いずれにしても、スカイツリーと五重塔が同じ構造だったとは驚きです。
地震に強い「高層」建築ビルとするために、よく「構想」の練られた制震構造が、スカイツリーには採用されていたのですね。【><】

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